傾聴と複雑なブレイクアウト
オンラインの企業研修にはいろいろなタイプのものがありますが、とあるオンライン研修の話です。
全国のさまざまな部署から集まる30人弱の参加者は、将来を嘱望される若手管理職のみなさん。その方たちをエンパワーし、新しいチャレンジをリードする人になってもらえるような研修です。
研修は、自分の持ち味や本能的に好きなことを理解し、自分の仕事を選んだ意味を考え、相手の話に心から耳を傾け、自分の心との対話する時間となります。
その2日間の研修は、計7回ものペアワーク(2人組)での話し合い、3~4人のグループのでの話し合いが3~4回と、何度もブレイクアウトセッションを繰り返します。
そのすべての組み合わせの中で、普段会って話をすることのない部署同士が話し合えるように、同じ人とは再びペアにならないように、直後のグループとも同じ人と組まないように、慎重に組み合わせを考えます。
その研修での出会いが受講生にとって価値あるものとなるようにという講師の先生の強い思い入れのあることです。受講生の時間を大事にする先生は、事務局も含め一切、受講生のブレイクアウトには入りません。それだけセンシティブなことを語り合う時間といえます。誰かを励ます、勇気づける、エンパワーすること、ましてや何か新しいことにチャレンジしようという気にさせるのは、簡単なことではありません。どんなに檄を飛ばしても本当の意味での効果はなく、すべては「傾聴」から始まるのだと感じます。
対面では全員の感想を聴くことはできないけれど、オンラインならチャットの機能を活用して全員の反応を知ることができることがいい点です。オンラインでのペアワークの会話がとても深いものになっていることがチャットの雰囲気からも伝わってきます。
私は、その参加者の組み合わせ表を事前準備します。
各受講生が、各回に一緒になるグループごとに色分けをし、各参加者がどの回に誰と一緒になるのかの一覧表を作り、重なる場合は別の組み合わせがないかのトライアル&エラーを繰り返し、実は丸一日以上の時間をかけています。研修終了後も継続的なバディとなる組み合わせを作るときは、悩みが共有しやすいよう部署の地域がある程度離れているが、同じくらいの都市規模の似た環境にいそうな人同士になるようにという点まで気にしながら作っています。
ランダムな組み合わせを繰り返す方法では、すぐに同じ人と重なってしまうので無理なのです。
このような事前準備作業を非効率と考える人も多いと思いますが、この研修の場合は、これからの参加者の生き方を変える出会いになるかもしれません。
参加者の表情を見ていると、私はいつもこの研修をサポートできてよかったと思うのです。(Noriko)